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NETISとは何か?次世代施工のスタンダードに

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NETISとは何か?次世代施工のスタンダードに


NETIS(ネティス)とは、国土交通省が運営する新技術情報提供システムのことを指します。建設業界においては、公共工事の効率化や品質向上のために「NETIS登録」が大きな評価対象となるケースが増えており、知っておくべき重要なキーワードです。

現在、日本国内では少子高齢化や人手不足により、建設業界の現場でも省力化・省人化が求められており、NETISに登録された技術の活用がその解決策の一つとして注目を集めています。

この記事では、「NETISとは何か」という基礎から、施工現場でNETISが求められる理由や背景、活用ポイントまでをわかりやすくご紹介していきます。

NETISとは:制度の目的と概要

NETISの定義と運用主体

NETIS(New Technology Information System)とは、国土交通省が運営する「新技術情報提供システム」の略称です。この制度は、建設現場における技術革新を推進するため、民間企業などが開発した優れた新技術を広く共有・活用できるようにすることを目的としています。

日本全国の公共事業においては、品質や効率、安全性の向上が常に求められていますが、その達成のためには革新的な技術の導入が不可欠です。しかし、新技術は必ずしもすぐに信頼されるとは限らず、実際の工事に採用されるには「客観的な評価」が必要です。NETISはその役割を担っており、企業が登録した技術について、現場での活用実績や評価を蓄積し、公開することで、全国的な活用の後押しを行っています。

新技術がNETISに登録されると、技術名称、概要、適用実績、施工効果などが掲載されます。企業(受注者)は掲載情報をもとにNETIS技術の提案を行い、最終的な導入判断は自治体(発注者)で行われます。

NETISに登録される技術とは

NETISの対象技術は、「公共工事の品質向上や効率化、安全性の向上、環境負荷低減などに寄与する新技術」です。
NETISでは、工事内容や工種に応じて、細かく分類されています。

当社システムを例に挙げると「インバート変位計」という製品は、以下のように分類されます。

・レベル1:トンネル工
・レベル2:トンネル工(NATM)
・レベル3:インバート工
・区  分:製品

NETISの分類表

施工現場でNETISが注目される背景

建設業界でのNETIS技術へのニーズ

近年、日本の建設業界では、以下のような課題があげられます。

・人手不足:高齢化による熟練技術者の減少、若年層入職者の減少傾向(2025年4月現在)
・作業環境の危険性:建設物倒壊や崩落といった、施工現場特有の危険
・要求品質の確保:長期に渡って利活用される構造物に対して、高水準の品質が要求される
・資機材コストの高騰:世界情勢と規制強化による資機材高騰

このような状況を背景に、「少ない人数で、より安全に、品質を保ちつつ、効率よく作業を進めるための技術」が求められています。

トンネル施工でのNETIS利用

トンネル施工は地山に囲まれた狭い、特殊な環境下での作業になります。
トンネル施工管理システムを主に取り扱う当社のシステムを例に挙げると、以下のような効果があります。

・システム名:「先行天端沈下計」KT-180071-VE
切羽(トンネル掘削面)崩落の予兆となる地山のせん断ひずみや先行変位を常時観測するシステム。
リアルタイムで高精度な計測によって切羽の崩落を検知し、警報音と警告灯で注意喚起を行います。
また、現場以外にも、工事事務所や担当職員にも自動通報することが可能です。

・システム名:「A-Flash α」KT-240034-A
トンネル坑内計測データの変位量や変位速度を光や色で表示できるシステム。
計測データの例:A計測(内空変位、沈下、地表面沈下)B計測、Ⅰ期線のC計測

・システム名:「自動測量システム(急曲線対応)」KK-230028-A
シールドマシンをリアルタイムに線形管理する急曲線対応の自動測量システム。
従来は作業員が手作業で測量を行うため、長距離、急曲線のシールド坑内では作業に手間と時間を要し、
入坑回数が多いという課題があったが、本技術の活用により、その手間と時間が削減できる。

現場で求められるニーズを踏まえ、従来技術との違いや導入によって可能になることを、自社のNETIS登録製品を一例としてご紹介しました。
これらの技術は、特殊な施工環境においても確かな効果を発揮し、現場を支える選択肢のひとつとしてご活用いただけます。

NETIS登録技術を導入するメリット

新技術導入効果の把握

施工現場にとって新技術を採用し、省人化・安全性向上・品質向上・作業効率化を進めることは魅力的です。しかし新技術を採用するには、従来技術との比較を行ったうえで効果を把握する必要があります。NETISには、新技術と従来技術を比較した結果が表示されているため、効果が容易に把握できます。

例:参考リンク 先行天端沈下計システムicon_gaibulink.png

NETISでは、新技術と従来技術の比較結果が確認できるため、導入前に効果を把握しやすく、より合理的な選定が可能になります。
現場に最適な技術を見極めるツールとして、NETISの情報を積極的に活用することが、次の一手を見つける近道となります。

公共工事における加点評価

NETISに登録されている技術は、公共工事の入札評価において評価対象となる場合があります。特に、「総合評価落札方式」を採用している案件では、価格だけでなく、技術提案や施工体制の評価も重要視されます。その際、事後評価で有用と認められた新技術の活用などを行う提案を行った場合は、評価の対象となります。
(※評価方法、配点等については提案を行った地方整備局などによって異なりますのでご注意ください。)

NETIS技術の積極的な活用は、加点評価による受注機会の拡大につながるため、技術提案の一手として積極的に取り入れていくことが重要です。

活用現場からのフィードバックによる新技術のスパイラルアップ


このように活用現場(利用者)が「活用効果調査表」を作成することで、開発者に新技術の評価がフィードバックされます。これにより利用者目線での改善点を開発側に伝えることができ、より良い製品・サービスを提供できます。


まとめ

NETISは、建設業界における新技術の普及と活用を促進するための重要な制度です。施工現場での課題解決や生産性向上も資する有力な手段の一つです。
NETISはいつでも、誰でも、どこでも、無料で閲覧できるデータベースです。皆さんもぜひ活用してみましょう。

演算工房NETIS登録製品一覧

NETIS登録番号 製品名 概要 リンク
KT-180071-VE 先行天端沈下計 先行沈下を計測し地山のせん断ひずみを常時監視できる計測システム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KT-180074-A インバート変位計 山岳トンネルインバート部の隆起量を、基準水槽とインバート部埋戻し土中に埋設した水圧計間の水頭差で計測する技術 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-220002-A En-Note® トンネル工事用の施工管理・遠隔立会システム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-230028-A 自動測量システム(急曲線対応) シールドマシンをリアルタイムに線形管理する急曲線対応の自動測量システム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-230056-A CyberNATM® 山岳トンネル(NATM)工事の測量・計測データの収集・管理を行い、施工管理の一元化を担うシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-230056-A E-G Modeling for NATM CyberNATM®から施工データを自動的に3次元モデルで出力し、一元管理ができるシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-230056-A E-G Modeling for Shield ARiGATAYA®から施工データを自動的に3次元モデルで出力し、一元管理ができるシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KK-230063-A ろッ君ロガー ロックボルト引抜試験における計測・帳票作成を自動化する技術 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KT-230119-A 4D Super NATM トンネル変位の3次元計測管理に時間的概念を加えて4次元で管理するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KT-230342-A テールクリアランス計測 シールド機のテール部のクリアランスをレーザー光等によりリアルタイムで自動計測するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
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KT-240011-A 演タブ シールド坑内における測量をタブレット端末によってトータルステーションを遠隔操作するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KK-240027-A AIサイクルタイム トンネル切羽のWEBカメラ映像をAI画像処理し、サイクルタイムを管理するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KT-240034-A A-Flashα 計測結果を無線搭載型LEDパネル上で変位量に応じた発光色を用いて可視化するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KK-240071-A 車載Scatch 車載型のスキャナにより、切羽の掘削形状および吹付形状を素早く3D計測するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KK-240073-A enCommerce トンネル工事で使用する材料の一元管理が可能なシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
KK-240095-A LiSM(LiDAR Smoothing Monitoring) LiDARによって面的に切羽の崩落監視や吹付厚・壁面の変位を3D計測し管理するシステム 技術情報を見るicon_gaibulink.png
製品情報を見るicon_gaibulink.png
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